協会誌Vol.28/ No.2 (通巻90号)
特集「排泄の方法と支援技術−外出の機会を広げるために−」
■特集「排泄の方法と支援技術−外出の機会を広げるために−」にあたって
村田 知之
「今回の特集では、排泄に関する支援技術に着目し、用具と外出先の環境に関する情報とともに、重度身体障害者や頸髄損傷者、視覚障害者、ストーマユーザーの体験から感じている不安やそれに対する方法や工夫などを紹介」
■排泄とおむつ
堺谷 珠乃
「おむつが必要な人にとっては毎日身に付ける下着ですので、本人にとって快適になれるおむつ選びと着け方を考えなければなりません。おむつを基準にするのではなく、その人の体を良く見て、その人がその人らしく暮らせることを一番に考えてください」おむつの種類や選び方、大切なことなどを解説している
■オストメイトの排泄問題とバリアフリー
高石 道明
オストメイトの排泄管理と装具などを詳細に紹介している。さらに、排泄処理方法や装具の装着に関する内容、外出時のバリアフリーや災害対策においても幅広く解説している。
■脊髄損傷者の排泄支援用具
玉垣 努
「脊髄損傷者の排泄障害は、彼らの日常生活、及び社会生活を健全に過ごすというささやかな願いに大いなる障壁をもたらす。」「生活としての排泄を中心に、『生活の中でどうすれば良いか』を、脊髄損傷者などの身体障害の観点から、福祉用具を中心としたアプローチをまとめて紹介する。」
■高速道路SA・PAのトイレ事情ー中日本高速道路株式会社における取り組みー
山本 浩司
高速道路SA・PA のトイレ事情として、NEXCO 中日本におけるトイレの整備計画及び平成24年度に開通した新東名高速道路におけるトイレの整備計画を報告している。
■鉄道車両のトイレ事情
今福 義明
鉄道車両の車椅子トイレの使い勝手など体験をもとに、様々な車両の車椅子と言おうトイレについて報告している。
■みんなで集めるトイレ情報ーCheckの活動ー
金子 健二
NPO 法人Check は、企業や自治体、ボランティア団体などの協力を得て全国の多機能トイレ・車いす対応トイレの情報をまとめ、フォーマットを統一し公開していこうとする「Check A Toilet ユニバーサルデザイントイレマップ」のサイトをオープンした。法人の立ち上げから活動の様子などを紹介している。
■重症児の外出時の排泄支援ー問題と課題ー
堀田 由美
体験談をもとに重症心身障害児のおむつ交換や外出時のおむつ交換での困難さや工夫などを報告している。さらに、車椅子トイレの広さや大人用おむつ交換台の位置や形状などについても言及している。
■外出先での問題と工夫ー視覚障害者ー
吉岡 久美
「筆者(全盲女性)の経験を基に、視覚障害者にとって、より使いやすいトイレのあり方を考察していく。」報告では、トイレへのアクセスへの方法と重要性を解説している。
■外出先での問題と工夫ー女性脊髄損傷者ー
瀬出井 弘美
女性ならではの悩みと排泄処理方法の選択について説明し、排尿に関する自助具や方法を紹介している。さらに、外出先でのトイレの課題や自宅内のトイレ環境についても報告している。
■外出先での問題と工夫ー頸髄損傷者ー
宮野 秀樹
排泄生活や外出先での工夫を事例として苦労や問題を挙げている。最後に「最も重要なことは、「排泄」は人間の尊厳を左右する行為であることを深く理解し、この問題解決が果たされなければ我々障がい者は行動範囲に制約を受けてしまう存在であることを多くの支援者が認識することである。」と言及している