協会誌Vol.28/ No.3 (通巻91号)
特集「心からリハする−ファッショナブルに生きたい−」
■特集「心からリハするーファッショナブルに生きたいー」にあたって
圓井 美貴子
「他者の中に自分の存在を置くことができ、自分に自信を持ち、前向きに生きるエネルギーの現れが、この思いの根源だと思う。つまり、「ファッショナブルに生きたい」を多様な分野から支援する事は、心のリハビリテーションに他ならない。」
■車いすとミニスカートと網タイツ
鈴木 ひとみ
「相手に恥ずかしい思いをさせたくないからと始めた普通の洋服を着る訓練だったにも関わらず、自分自身が装うことに喜びを感じていたのだ。しかも握力の無い手で着られる洋服は限られていた。不自由な選択の中で、モデルの時には思いもしなかった“喜び”を感じていた。」
■チェアウォーカーズファッションショーの開催
小西 富広
「オシャレの楽しさを知らずショッピングや外出を避け、ゴロゴロするときもワクワクするときも同じ格好で過ごしていることに寂しさを感じたと共に、同じ重度障がい者として何ができるのか考えた結果、障がい者がモデルとなってファッションショーをするチェアウォーカーズファッションショー(以下、CFS)を思いつきました。」
■フリーペーパー「Co-Co Life☆女子部」―障がいのある女性の「キレイ」
大部 令絵
「たった一日の非日常体験が、私のその後の毎日に女性としての楽しさをプラスした。そして、その中で撮影の時間を共にしたモデル同士で仲良くなり、交流は続いた。そのつながりが、現在の制作チーム結集へとつながり、各々が現在、各企画ページの制作を担当している。」
■化粧を楽しむ生活を支援ー作業療法の視点からー
石橋 仁美
「作業療法では、対象者の化粧に対する価値や興味、化粧に関連する役割、化粧の習慣、化粧を施す能力、個人を取り巻く環境を総合的に理解して、化粧行動やそれに関連する社会行動を促進することができる。」
■街に出たくなる車椅子
松尾 清美
「「車椅子は乗り物の一つであり、乗り心地が良くて、格好良いものでなくてはいけない」という石井氏の言葉を忘れずに開発を続けると共に、外出や車椅子での生活を楽しみたいと思う。」
■魅せる補装具
松田 靖史
「健常者はたった五体しか備えることができないが、補装具ユーザーはもっと優れた容姿や機能を備えることができる。事実、“義手は煮立った鍋のゆで卵を掴んでも熱くない”。補装具の可能性を信じて、前に進もう。」
■医療向けウィッグのファッション的価値について
坂口 雄人
「実際にウィッグを使用した患者さまからよく伺うのは、「治療の副作用でくすんでしまった肌色や、脱毛した頭を見ると、からだは大丈夫でもすっかり重病人になってしまったようで気持ちが塞いでしまう」という声です。自然でファッショナブルなウィッグを着用することは自己イメージを高め、病気に対する不安を和らげてくれます。」
■オシャレをして社会に飛び出そうー障がい児の学生服作りを通してー
村木 敏員
「学生服には喜びや悲しみ、苦しみや感動が刻まれ、たくさんの思い出が無形の財産として残ります。それは障がいの有無に関わらず素晴らしい価値を生むものであると考えます。」
■カッコいい車椅子用バッグで皮革業の未来を担う
西本 敏恭
「どのバッグもステッチは太い糸を使用して、手作り感を出すのと、細心の注意を払って綺麗に見えるようにミシンを掛けています。また、色バリエーションも豊富で、革 7色と帆布 2色、裏地 4色から選んで、自分の個性を出したお洒落なバッグにすることができます。」
■心輝くリメイク服であなたの願いを叶えたい
高橋 良江
「もっと早く用が足せるように、でもジャージはダメで着用時に上着とのバランスを崩さないそろいのスラックススタイル。少し悩んだ後思いついたのは「折衷案」。すぐに着脱ができて、締め付けの無いジャージのウエストリブとスラックスを結合した。」
■「欲しいから作る」ものづくりー障害者も女性も、みんなが楽しむアウトドアの為にー
渡辺 賢二 聞き手 圓井 美貴子
「「自分たちの欲しいものを作る」「Light&Fast(軽く早く)」「Function is Beauty(機能美)」の3つを基本コンセプトに製品開発をしています。流行にはあまり興味がない。ファッション性ということから言えば、機能性を徹底的に追及すると美しくなるはずだと思っています。」
■ファッションで「意識のバリアフリー」に挑むーピープルデザインという発想ー
須藤 シンジ
「Nextidevolution の活動を通して生まれた概念が「ピープルデザイン」である。ファッション、映画、スポーツという楽し気なコンテンツを手段として、ハン ディの あ る人 とな い人 が自 然 に 混 ざり合う「 行 動 」を創り出してゆくという考え方である。」